さわやかなたたずまい、いつもの笑顔。こうるさい我ら熟年女子たちとも上手につきあってくれる度量の広さ。そんな渡辺さんの姿勢は、どこからくるのだろう・・・と思っていた。 9月のある昼下がり、じっくりとお話を伺った。
大阪市在住
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今まで
2002年 |
外国語大学卒業後、日本語教師アシスタント派遣プログラムを利用し渡米 |
2006年 |
帰国コンサルタント会社に就職 |
2008年 |
キャリア講座や英語講師として活躍中 |
いっぽ
私が高校生だったある日のこと。4歳年上の姉が1年間のアメリカ留学を終え、帰国しました。姉が開けたスーツケース・・・「アメリカのにおいがした! ぷわーんと!」 「どんなところなんだろう? 行ってみたい。私も行く! 」 それが私の「外国への夢」の第一歩でした。
大学受験に失敗し、不本意ながらスタートさせた大学生活。「なんでここに来たんやろう・・・」 全く大学に行く気がせず、「おもしろくない前期」を過ごしました。「楽しくやっていくには、どうしたらいいんだろう?」少しづつ考え始めました。大学に留学プログラムがあることを知ってからは、俄然、勉強を頑張りました。
大学3年生の時に1年間 アメリカへ留学。それが実は、初フライト! 初海外! 最初はぜんぜん話すことが出来ず、食生活にも慣れず、3か月ずっとサラダばかり食べていました。「郷に入れば・・!」と覚悟を決めたことで、少しづついい方向に動き出した気がします。アメリカ人のルームメイトとも仲良くなり、宗教のことから恋愛のことまで、日々語り合いました。大学での授業の展開の仕方もおもしろかったですね。今でいう「マイケル・サンデル教授の白熱教室」のよう。大教室の授業も教授と学生の活発なやりとりがあり、自分から動かないと情報は得られないし、自分らしく主張しないと認められない。まさに、「考える」場面の連続でした。
1年間の留学を終えて、帰国。「このままでいいのか・・・また行きたい」との考えが大きくなってきました。そして、興味を持った日本語教師の資格取得に向け、勉強を始めました。
大学在学中は、いろいろなアルバイトをしましたね。レストランでの接客、スイミングクラブ受付、家庭教師、新幹線の売り子さん、船場の小売店を取材するレポーターの仕事・・・人と話すのがうまくなるために接客の仕事をしたりと、苦手なことだからこそ取り組んできたんだと思います。
にほ
大学卒業の時期が近づいてきました。私は、みんなと同じようにリクルートスーツを着て、一斉に髪の毛を黒く染め、流れに乗って就職活動をすることに、少なからず違和感を感じておりました。留学の経験が私に、いろいろな価値観・やり方・生き方を見せてくれたんだと思います。「卒業したら就職するのが当たり前。大丈夫なの?」と心配する友人もいましたが、日本で就職せず、アメリアでやっていくと決めました。卒業後、日本語教師のアシスタントとして派遣される留学プログラムを使って、再度渡米。道が見えてきました。
アシスタントから日本語教師へ。高校生に日本語を教えながら、以前から興味のあった心理学を大学院で学び始めました。大学院時代に出会った世界各国の友人たちは、私の宝物です。スペイン人のアリシアは、人を巻き込むことの天才。いつも、みんなでできるイベント・遊びを考えて、わいわいにぎやかに過ごす彼女。人との関わりの中で一歩踏み出すことを、私はアリシアから教わりました。
大学院卒業後は、マーケティング会社で営業の仕事に従事。「できなければ、すぐに取って代わられる」 そんな仕事の現場も経験しました。このままアメリカで暮らしていくのか、迷い始めた時期でもありました。
アメリカで知り合った友人が、結婚することになって! 春、結婚式に参列するため、渡米します。 |
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さんぽ
もう一度、自分の人生を整理しようと、帰国を決意。学んだ心理学を活かそうとコンサルタント会社に就職しました。そこで、カウンセラーの方や講師の仕事をされている方に出会い、とても魅力を感じました。私自身も、もっと留学の経験を活かそうと考えていたので、「やってみたら?」と声をかけていただいた時はうれしかったです。独立して、キャリア講座講師、英語講師の仕事を始めました。
そして、今・・
現在は、大学の低学年向けのキャリア講座を中心に頑張っています。実は、所謂「シューカツ」を経験していない私が、大学のキャリア講座の講師をしてもいいのかと思い悩んだ時期もありました。今の日本の就職システムでは、スケジュールにきちんと乗っていくことが大事だからです。今は、違和感を感じた私だからこそ、伝えられるものがあると考えています。私自身は、納得しないと動けない性格。大学生のみんなには、自分自身と向き合いながら、納得できる進路選択をしてほしいですね。
「この仕事をやっていて良かった・・」と思えるのは、「学生のみんなに伝わった!」 と感じる瞬間があるから。納得した表情、記入シートのコメント、授業前後のちょっとした会話、いろいろなシーンで、そう感じられた時が、本当にうれしいです。この仕事の醍醐味ですね。これからも、「キャリア」「心理学」「英語」を軸にやっていきます。自分をもっと表現していきたいです。そのためには、「自分で動いていくだけだ」と考えています。
こんなに「茨の道」に挑戦し、ぶつかっても立ち上がっていく人だったとは!「成長したい!経験を積みたい!」そのパワーの源は何?と訊いた。「自信がないからだと思う。自信を持てるように、自分で動いてきただけ。」
先日、ある大学生が、こんなことを言っていた。「新しいことに挑戦するのが、怖くなっている自分がいる。何かを始めて上手くできない自分が悔しくて、やめてまた、自信をなくしている。・・・そんな自分に、打ち勝てるような自信をつけたい。」
渡辺さんのこれまでの道のりは、多くの学生を勇気づけるにちがいない。人生・キャリアの道のりには、曲がり角や分かれ道、迷路・・・いろいろな場面が登場する。その時にこそ、「自分で動いて」道を切り開いていこう。私も同じ思いだ。