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池松華奈子プロフィール

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第1回しごと人 渡辺祥子さん キャリア講座・英語講師

今井克則

 大学の仕事現場でお会いした植田さん。やわらかく落ち着いた雰囲気の奥に、芯の強さを感じさせる女性です。実は、私と同様、生駒市在住の働くママとのこと! これは、何としても「しごと人のたね」にご登場いただきたい…。8月のまだ残暑厳しい午後、お話を伺いました。

 

ファミレスの抹茶アイス、おいしそうに食べてたなぁ。またごいっしょしましょ!

 

今まで

平成4年

外国語大学イタリア語科 卒業

大手電機メーカー入社 海外事業担当

平成7年

公認会計士資格試験の挑戦のため 退職

平成9年

公認会計士2次試験合格

大手監査法人で 会計士補として勤務

平成13年

公認会計士3次試験合格 公認会計士登録

植田公認会計士事務所 設立

※小学1年生男の子のママ

いっぽ 

外国語大学から、大手電気メーカー海外事業部へ・・・

 私は、外国語大学でイタリア語を専攻していました。就職は、大学が多くのOGを輩出している電機メーカーに入社することになりました。海外事業部に配属され、英語の文書作成、海外拠点との電話のやりとり、船積の手配などをしていました。また、海外との業務だけでなく、事業報告書や経営管理・販売会議関連の資料作成にも多くの時間を費やしました。 忙しかったですね。ヨーロッパとのやりとりでは、時差の関係もあり、どうしても残業になることも多かったです。人間関係のいい職場でしたが、このままでは、ずっと会社に縛られるのではないかと考えるようになりました。「職場を出たら、私は何者でもなくなる…」「どこにいても、自分が通用するようになりたい」。

 当時は、ロールモデルとなる女性の先輩がおらず、企業人として活躍のフィールドを広げることがイメージできなかったんだと思います。組織に属するのでなく、「コレがあるから、自由に動ける」というものが欲しいと考え始めました。 「資格が欲しい」。希少価値があって挑戦し甲斐のあるもの。資格本で見つけた「公認会計士」は、まさにそれ。経営資料などの仕事で、損益管理などの数字のおもしろさや、経理・財務領域の重要さに魅かれたのだと思います。まずは、公認会計士のベースになる簿記の資格について調べてみることにしました。簿記3級の問題集を買ってきて解いてみたら、「おもしろい!」。自分に合っているかしれないと感じました。

 「会計士になるので、退職します!」会社の上司に宣言。それまで、「やりきった感がなく、行けるけるところに進むという人生だった」。大学受験でも、ものすごくがんばったという記憶がなく、不完全燃焼だったのでしょう。死ぬほど勉強したら、公認会計士になれるはずだと考えたのです。「会計士になる」宣言から3か月後、退職し、勉強に専念することになりました。

にほ

勉強づけの毎日。食事・お風呂・睡眠以外の時間、すべて勉強していました・・・

 退職後、TACという資格専門学校に通い始めました。当時、公認会計士試験は年に1回。春に短答式試験、秋に論述式試験がありました。(*1)勉強を始めて1年後に受験しましたが、論述式試験に落ちてしまいました。試験終了後、「これは落ちてる…」と思い、速攻で勉強を開始しました。食事とお風呂、睡眠時間以外は勉強していましたね。吐くまで勉強した感じです。会計士になると宣言して自分で自分を追い込んだわけで、苦ではありませんでした。新しいことを学べることがとてもおもしろかったのを覚えています。

 TACでは、毎回テストの結果が張り出され、上位にランク入りしたいというモチベーションにもつながりました。3年計画くらいで資格取得を考えている学生には負けられないと頑張りました。社会人を経験したからこそ、覚悟を決めて挑戦できたのだと思います。「私が受からなかったら、誰が受かるの?」くらいまで勉強し、退職から2年後、2次試験合格を手にしました。

あの時頑張ったという思いは、自信につながっているかも。

(*1)現在は、短答式年2回実施。短答式に合格すれば、一定の期間、短答式試験が免除される。(2012.8現在。該当HPなどでご確認ください。)

 

 

 

今井克則

さんぽ

大手監査法人勤務。そして、独立へ・・・ 

 会計士補として、監査法人で勤務することになりました。合格前から就職説明会や面接があり、監査法人への道が開かれます。合格発表の翌月には働き始めました。
 当時、公認会計士は、会計士補として3年間の実務経験を経て、3次試験を受け、認定されるものでした。(*2)現在では、公認会計士といえども、就職に関して絶対的な資格ではなくなっています。合格者が増加したため、監査法人だけでは受け入れることができなくなり、一般事業会社にも合格者の受け入れを要請している状況です。いずれにせよ、厳しい試験に挑戦し目標を達成するプロセスは、どんな企業であってもプラス評価されるものだと思います。

 監査の現場は教科書通りには動きません。帳簿のつけ方からシステム・意思決定のパターンまで会社によってさまざまです。建設業・製造業など、いろいろな企業・風土を見られるのがおもしろかったですね。また、監査は、実は答えがひとつではなく、解釈や判断にグレーの部分がある世界です。いろいろな上司の考えに触れることで、私自身、柔軟に動くことが磨かれました。

ある一日

 私にとっての会計士の醍醐味は、「信頼されている」とわかる瞬間があることです。企業運営の根幹である経理・財務について相談されると、自分の存在が担当企業に役立っていると感じることができ、嬉しいですね。大変なのは、会計関連の情報を常にアップデートしなければならないこと。専門家として「わからない」とは言えません。専門誌や公認会計士協会HPなどから常に情報収集し、毎日の日経新聞の熟読は欠かせないですね。

 そのころ、結婚もしました。夫婦とも仕事が忙しく、休日が異なる夫とのすれ違いの生活。組織に縛られない働き方をしたいと考え始めました。会計士4年目で公認会計士事務所を設立。監査法人の非常勤となり、担当先の現場だけで仕事が完了する形に変わり、自分らしい働き方ができるようになりました。そして、出産。出産4か月後、再び自分のペースで働き始めました。

 

(*2)現在は、実務経験が2年以上必要(2012.8現在。該当HPなどでご確認ください)。平成18年から新しい公認会計士試験制度。監査業界のみならず、企業の中でその専門的知識を生かして働く等、経済界等の幅広い分野での活躍が期待されている。

 

そして、今・・

 監査法人非常勤の仕事を終了し、今は、植田公認会計士事務所として、担当企業の監査や、業務委託契約を結んだ監査法人の仕事をしています。これまでの信頼関係から、法人先を紹介していただいたりと、徐々に仕事が入ってくるようになりました。
フリーランスには、企業にいる時の安心感はありません。働かないと実入りがないわけで、仕事がないのがどれだけ不安なことか思い知らされました。山のようにやってくる仕事に不安を感じていた企業人時代とは真逆ですね。常に真剣勝負で仕事をしています。

 将来的には、自宅とは別の事務所を持ち、人を雇って仕事ができるようになりたいです。でも今は、子どもとの時間も大切にしたいため、仕事を少しセーブして、今後の方向性を思案しています。

 大学での金融関連の講座など、教える仕事は楽しいですね。学生だけでなく、社会人対象の経理関連講座にも手を広げていきたいです。教えるというアウトプットの仕事は、パワーが必要で大変ですが、自分自身の勉強にもなるので、依頼がある限り、頑張りたいと考えています。

20代のみなさんへ

 若いみなさんには、自分の可能性を狭めないでほしいですね。「子どもが出来たら仕事はできない」など、決めつける必要はありません。私自身、外大を出て、子どもを育てながら、会計士をしています。やってみたら道は開けるし、違うと思ったら、軌道修正をすればいいのです。どうぞ柔軟に生きていってください!

 何がやりたいかわからない…という人もいますが、まずは、自分の興味に注目してみては? どんな仕事があるのか知らないケースも多いので、まずは知ることからです。

 金融講座でライフ・マネープランニングを取り上げた際、女子学生たちは、「節約しよう!」と考えても、「自分で稼ぐ!」という発想が少ないようにも感じますね。私は、自分で稼ぎたい。働くことは自然なことだと考えます。また、女性が働く上で、資格・技術を持つことは心強いです。環境に縛られず、自分の責任で、自分らしく選択できる…可能性が広がりますよ!

いけまつ の ひとりごと

「やりきった経験」を持つ人は、強い。

 やわらかいけれど、どこか譲れないものを持っている強さ。どんな話にも耳を傾けてくれる懐の深さと、ここぞという時には、しっかりリードできる瞳の強さ。とてもバランスのいい人だ。「違うと思ったら、軌道修正すればいい…」植田さん自身が、その時々の状況を見極め柔軟に歩んできている。自分の考えと行動がきちんと響き合っている。 そういう彼女の源は、「やりきった経験」ではないかなぁ。自分の限界を超えた経験が、人を強くし、自信を与えている。


 もう一度、自分に、そして、あなたに問いたい。「自分の限界を決めてしまって、可能性を狭めていない? 」怖がらずに、壁に挑戦しよう!きっと道は開けてくる。